現状のイルミネーションにおける主な課題と原因

イルミネーションのこれまでと動向についてお話した前回に続き、現状のイルミネーションにおける主な課題ついて分析していきたいと思います
2014年にピークを迎えてから約10年が経った今、イルミネーション市場では長らく「What's NEXT?状態」が続いていると言えるのではないかと思っていて、その理由は
・冬季の夜間に安心に出歩けるイベントであるイルミネーションには一定の需要がある
・需要がある一方、トレンドとしてピークアウトしているため話題化などの開催効果は減少傾向
・トレンドコンテンツの導入とボリューム維持の両立によってヘルタースケルター状態となり実は均質化→来訪客は有名で知名度のある施設へ集中
と考えています
簡単に言うと、イルミネーションに行きたい、好きだという人は大幅に減ってはいないけれど、どこのイルミネーションに行くか迷うというよりはすでにエボークドセットに入っている有名施設があって、結局のところどんな目玉コンテンツを投入しても効果が薄いということです
だからこそ、次のパンチのあるトレンドは!と渇望されて早10年
こういった状況ではないかと感じています
そもそもなぜこんなことが起きてしまったのか
少し詳しく考察していきます
①大規模化に伴う在庫問題と統一感の喪失
・年々増えるエリアを埋めるために趣向の異なる新商品を購入
・経年劣化による損傷部材を一部交換
→同じ部材でも輝度の違いがはっきりとわかったり、そもそもテイストが全く異なる商材を並べてしまい見た目やコンテンツとしての統一感がなくなってしまう
②長期化によるテーマの不明瞭
・長期開催に耐えうる仕様にするため、クリスマスツリーなど時期を限定するような装飾を設置できないケースが多い
・①の在庫を利用することを前提としているため、光っているオブジェクトを広く許容するような「ファンタジー」「宇宙」などの抽象的テーマを設定せざるを得ない
→一方、集客ピークが12月1日〜25日であることから、来訪客は「いかにクリスマスか」を欲している可能性が高くニーズとの微妙なミスマッチが発生している
③均質化
・他施設との違いを出すための新商品導入、新技術導入がかえって見所にならないケースが多い(他施設でも同じように導入している/鑑賞者目線では”新しさ”がわからない)
・テーマが抽象化することで施設ごとの特色が出しにくく、来訪客の選択の決め手を提示しにくい
④コンテンツとしての消費期限
・2014年を境に検索ボリュームがピークアウト
・冬のお出かけ先の定番として一定の需要は保持している一方、イルミネーションに飽きている層も増大
→”イルミネーション”に対する投資額が減少し、現状打破<現状維持を選択している施設が多い
おそらくこの4つは独立ではなくて、①から④に向かって因果関係がある事象です
私は個人的に①ー③までの流れを"実家感"に似ていると思っていて
最初はこう!というコンセプトで家の内装や外装を決めたものの
年々どこかのおみやげや、衝動買いの産物が増えていき
しまい忘れたクリスマスの装飾とイースターが入り混じり、、
気がつくと西海岸風とバリ風と和風が混在している、まさに実家のような状況
そういった状況はどこかほっこりしていて完全に悪いとは言い切れないのですが
集客をする、選ばれるコンテンツにするという点では非常に頭の痛い問題と言えます
次回はこういった状況をどのように打破すべきかについて少しだけ紹介したいと思います