長期開催イルミネーションにメリハリを──「シーズンオペレーション」という考え方
- 吉平恵依
- 7月23日
- 読了時間: 3分
はじめに:今年のイルミネーション、どうする?
この時期、そろそろ今年度のイルミネーションの方向性を考え始める施設も多いのではないでしょうか。とはいえ、この「方向性を決める」という工程が、実は一番難しかったりします。
今回のコラムでは、特に長期開催型のイルミネーションにおすすめしたい運用手法、「シーズンオペレーション」についてご紹介します。長くイルミネーションを楽しんでいただくためのヒントになれば幸いです。

「イルミネーション=クリスマス」だけにしないために
イルミネーションといえば冬、そしてクリスマス──。このイメージは根強く、実際に12月をピークに来場者数が大きく増える傾向にあります。一方で、開催期間を10月〜3月と長めに設定していても、クリスマスを過ぎると集客が落ち込んでしまうケースも少なくありません。
そんなときにおすすめしたいのが、シーズンごとに装飾や演出のテーマを変えていく「シーズンオペレーション」。同じ場所に何度訪れても、新鮮な驚きや楽しさがある──そんな仕掛けづくりが可能になります。
長期イルミネーションを“分割”する
シーズンオペレーションの実践方法には、大きく分けて2つのアプローチがあります。
秋はキャンドルナイト、冬はイルミネーションのように、ほぼ別のイベントとして展開するスタイル
季節ごとにテーマを変えつつ、同じイルミネーション空間をリデザインするスタイル
後者の方法を実際に導入したある施設では、10月〜3月までのイルミネーションを「ハロウィン」「クリスマス」「ニューイヤー」「バレンタイン」と、4つのシーズンに分けて展開しました。テーマごとに装飾や色味を変えることで、訪れるたびに違った魅力を感じられる空間を体験させることがポイントです。
シーズンごとの情報発信でPR効果もアップ
最近では、SNSを活用した情報発信が広く定着しています。しかし、点灯式以降は話題が尽きてしまいがちなのもイルミネーションの悩みの一つ。
シーズンオペレーションを導入すれば、シーズンごとに写真映えするポイントやキャンペーン情報を発信でき、SNS投稿やプレスリリースのタイミングも増やせます。結果として、メディア露出のチャンスや集客の波を複数回つくることが可能になります。
テーマに合わせた空間演出のポイント
1. 変化がわかるビジュアル設計
季節ごとの切り替えを効果的に演出するには、空間の印象ががらっと変わることが重要です。 単にアイコン(ジャックオーランタンやハートのオブジェなど)をぽつんと置くだけではなく、「訪れるたびにしっかり変化を感じられる」スケールと構成を意識することで、効果的にリピートに繋げることができます。
2.コストは“初期投資と運用効率”のバランスで考える
とはいえ、 シーズンごとに装飾をすべて変更するのは現実的ではありません。
単色と比較して初期投資はかかりますがRGB対応のイルミネーションを導入しておくと、配線や設置の変更なしに色彩演出だけで空間の印象を大きく変えることが可能になります。長期的には運用コストの圧縮につながる、戦略的な選択と言えるでしょう。


おわりに:季節を感じる日本だからこそ
桜が咲けば春を感じ、紅葉が色づけば秋の訪れを感じる──。日本人は昔から、四季の変化を五感で楽しんできました。そんな日本だからこそ、イルミネーションもまた、季節とともに移ろう空間として楽しんでいただけたら嬉しいなと思います。
今年のイルミネーション、ただ「長く点灯する」だけでなく、季節に寄り添った「変化のある演出」を取り入れてみてはいかがでしょうか。



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